「このまま貯金していれば、老後はなんとかなるはず」
そう信じてきたのに、スーパーに行くたびに上がっていく食材の値段や、ニュースで流れる円安の見出しを見ると、心のどこかでザワッと不安が広がりませんか。
長年コツコツ貯めてきたお金。けれど、振り返ってみると「これで本当に足りるのだろうか?」という思いが消えない。老後2,000万円問題という言葉を耳にしてからは、なおさら胸の奥に小さな焦りが芽生えているかもしれません。
実は今、目に見えない形で日本円の価値はじわじわと削られています。物価は確実に上がり、年金は増えず、円の力は世界中で弱まりつつある。この現実から目をそらすことはできません。
けれど、怖がる必要はありません。
円だけに頼らず、資産の一部を「外貨」に分けることで、不安を安心に変える方法があるのです。特に、世界の基軸通貨である米ドルを持つことは、あなたの未来を守る大きな力になります。
本記事では、「なぜ資産の50%を外貨にすることが老後資産を守る鍵になるのか」、そして「米ドルの強さをどのように活かせばいいのか」を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
日本人が抱えやすい「円資産依存リスク」

「お金は銀行に預けておけば安心」
そう教えられてきた私たち日本人にとって、円資産を持つことは長らく「常識」でした。実際、ほとんどの家庭の資産は円のまま眠っています。けれど -その常識こそが、これからの時代には最大のリスクになり得るのです。
超低金利ではお金は増えない
日本の銀行に預けても、金利はほとんどゼロに等しい状態が長く続いています。2024年にメガバンクが金利を0.2%に引き上げたというニュースもありましたが、物価は同じ時期に4%も上昇しました。つまり、預金通帳に数字は残っていても、実際の購買力は確実に減っているのです。
「100万円預けても、1年後に増えるのはたった2,000円。でも、物価は4万円分も上がっている」-このギャップに気づいた瞬間、背筋が冷たくなるのではないでしょうか。
インフレと円安で暮らしがじわじわ圧迫される
最近、スーパーで「えっ、また値上がりしてる?」と感じることが増えていませんか。食品、電気代、ガソリン…。生活必需品の多くは海外から輸入されています。そのため、円安が進めば進むほど、私たちの生活費は膨らんでいくのです。
たとえば、1ドル=100円のときに1,000万円を持っていれば、海外で10万ドルの価値がありました。ところが1ドル=150円になると、同じ1,000万円は約6万6,000ドルの価値しか持ちません。つまり、円資産に偏っているだけで、気づかぬうちに資産が3割も減ってしまう可能性があるのです。
「円=安心」という思い込みの落とし穴
私たちは長年、円を「安全な通貨」として信じてきました。しかし、世界の目から見れば円はすでに脆弱な通貨になりつつあります。少子高齢化で経済規模は縮小し、国の借金は増え続けている。そんな背景の中で、円だけを持ち続けることは「安全」ではなく、むしろ「危険」になってきているのです。
「このままでいいのだろうか…」
そう思ったときが、資産のあり方を見直すタイミングです。
では、どうして“資産の50%を外貨にする”ことが理想的なのか。次の章で、その理由を掘り下げていきましょう。
なぜ「外貨50%」が理想的なのか

「資産を外貨に分けるべき」と言われても、どのくらい持てばいいのか、迷う方は多いでしょう。
「ちょっとだけドルを買っておけば安心かな」
「いや、怖いからやっぱり円のままでいいや」
――そんな迷いの中で時間だけが過ぎてしまう。これこそが、最も危険な状態かもしれません。
資産形成の基本は「分散」にある
投資の世界には昔から「卵はひとつのカゴに盛るな」という格言があります。
資産を円だけに集中させることは、まさに“ひとつのカゴ”にすべてを任せている状態。もし円が大きく揺らげば、生活そのものが直撃を受けてしまいます。
一方で、円と外貨をバランスよく持つことで、リスクは自然と分散されます。円が弱くなれば外貨が支え、外貨が下がれば円が補う。まるでシーソーのように、全体の資産を安定させる力が働くのです。
円安局面で資産を守る仕組み
ここ数年で円は急激に安くなりました。もし資産を100%円で持っている人は、購買力の低下をそのまま受け止めるしかありません。
しかし、資産の半分をドルなど外貨で保有している人はどうでしょうか?
円が安くなるほど、外貨資産の価値は相対的に上がります。つまり、外貨が円安のダメージを吸収してくれるのです。
「もし半分を外貨に変えていたら、ここまで不安を感じずに済んだのに」
そんな後悔をしないためにも、いま行動する価値があるのです。
偏りを防ぐ黄金比率「円50%・外貨50%」
外貨の割合は人によって調整してもよいですが、多くの専門家が「円と外貨を半々に持つ」ことを推奨しています。なぜなら、50:50という比率は、守りと攻めを両立させるバランスだからです。
- 円が強いとき:海外資産を割安に買うチャンスになる
- 円が弱いとき:外貨資産が膨らみ、生活を支える
- どちらに転んでも、全体の資産は大きく崩れない
「安全に守りながら、チャンスも逃さない」
それが、外貨50%という黄金比率の持つ力なのです。
次の章では、なぜ外貨の中でも特に「米ドル」を選ぶべきなのか。その強さと信頼性を、世界の動きから見ていきましょう。
世界の基軸通貨・米ドルの強さに学ぶ

「外貨を持つ」といっても、ユーロや豪ドル、中国人民元など、世界にはさまざまな通貨があります。
では、なぜ多くの人が 米ドル を選ぶのでしょうか?
その理由はシンプルです。米ドルは「世界の基軸通貨」であり、ほかの通貨にはない圧倒的な信頼と安定性を誇るからです。
国際貿易と外貨準備を支える米ドル
世界の貿易の6割以上はドルで決済されています。たとえ日本企業同士が取引をする場合でも、国際的な原材料の購入にはドルが使われることが多いのです。
さらに、世界各国の中央銀行が保有している外貨準備のうち、約6割が米ドルです。つまり、各国の政府までもが「最も信頼できる通貨」としてドルを選んでいるという事実があります。
米国経済の成長力と市場の拡大
ドルの強さは、米国経済そのものの強さに裏打ちされています。
米国はイノベーションの中心であり、Apple、Google、Amazonといった世界を牽引する企業が次々と生まれています。
さらに、人口も増え続けているため、長期的に経済が成長しやすい土壌を持っています。
その証拠に、米国を代表する株価指数「S&P500」は過去30年間で約10倍に拡大しました。ドルを持つことは、単に外貨を保有するだけでなく、この成長の果実を受け取るチケットを手に入れることでもあるのです。
有事に強い「安全通貨」としてのドル
もうひとつ忘れてはならないのが、「有事のドル買い」という現象です。
世界で金融危機や地政学リスクが起きると、多くの投資家は真っ先にドルに資金を移します。なぜなら、ドルは混乱の時代でも価値を保ちやすい「安全通貨」として信頼されているからです。
つまり、ドルは平時の成長だけでなく、危機のときにも資産を守ってくれる存在なのです。
米ドルを持つことは、単に外貨を持つことではありません。
それは 「世界の経済成長」と「有事の安心」を同時に手に入れる」 ということ。
だからこそ、外貨の中心には米ドルを据えることが理にかなっているのです。
次の章では、実際に 米ドルをどのように持つのがよいのか――ETF・投資信託・外貨預金といった具体的な方法を解説していきます。
米ドルで持つ方法:ETF・投資信託・外貨預金
「米ドルを持つことが大事なのはわかった。でも、実際どうやって始めればいいの?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。外貨を持つ方法はいくつかありますが、それぞれ特徴があり、あなたの目的や性格に合わせて選ぶことができます。
1. ETF(上場投資信託)で“成長”を取り込む
ETFとは、株式市場に上場している投資信託のこと。米国株を代表する「S&P500」や、高配当銘柄を集めたETFが人気です。
たとえば、
- VOO / IVV / SPY:米国を代表する500社に一括投資
- VYM / SPYD:高配当株に投資し、定期的に配当を得られる
ETFの魅力は、世界の成長をそのまま取り込めること。しかも少額から買えるので、「米国株は高そうで手が出せない」という方にも始めやすいのです。
2. ドル建て投資信託で“安心”を選ぶ
「株だけだと値動きが怖い」――そんな方には、ドル建ての投資信託がおすすめです。
投資信託は、プロの運用会社が株・債券・不動産など複数の資産に分散投資してくれる仕組み。値動きが比較的安定している債券を組み合わせることで、リスクを抑えながら長期的に資産を育てられます。
ETFより管理を任せられる分、初心者でも安心して取り組みやすいのが特徴です。
3. 外貨預金で“シンプル”にドルを持つ
「投資はまだ怖い…でもドルを持ってみたい」
そんな場合は、銀行や証券会社の外貨預金を使うのもひとつの方法です。
預金なので仕組みはとてもわかりやすく、米ドルをシンプルに保有できます。注意点は、為替手数料や金利が商品によって異なること。大きなリターンは期待できませんが、「とにかくドルを持つ」第一歩としては有効です。
ETFは「成長」を、投資信託は「安定」を、外貨預金は「シンプルさ」を。それぞれの強みを理解すれば、自分に合った方法を見つけられるはずです。
次の章では、もし「円だけ」と「円とドルを半分ずつ」持った場合に、どれほど結果が変わるのか -具体的なシミュレーションで比べてみましょう。
行動の第一歩:どう始めればいいか
ここまで読んで「外貨を持つべき理由」は理解できても、次に浮かぶのはきっとこうでしょう。
「でも、具体的にどうやって始めればいいの?」
「失敗したら怖いから、やっぱりもう少し様子を見ようかな…」
実は、この“様子見”こそが、最ももったいない落とし穴です。
資産形成において何よりも大切なのは、「時間を味方につけること」。今日の小さな一歩が、10年後・20年後には大きな差となって表れるのです。
少額からでいい。まずは始めること
投資というと「何百万円も必要」と思いがちですが、実際には 月1万円から 始められます。
証券会社の口座を開設し、外貨建てのETFや投資信託を「積立」で購入する。これだけです。
証券口座開設からドル購入までの流れ
- ネット証券(SBI証券、楽天証券など)で口座を開設
- 外貨建て商品を購入できるよう、外国株式取引口座を開設
- 円をドルに両替(自動積立設定も可能)
- ETFや投資信託を毎月一定額で積み立てる
数年前よりも手続きは格段に簡単になり、スマホひとつで完結できるようになりました。
複利効果を活かす「時間の力」
仮に毎月1万円を20年間、年利5%で積み立てた場合、総額240万円の投資は 約400万円 に増えます。
これは「時間を味方にした複利の力」が生み出す成果です。
「まだ大きな額は無理…」
そんな方こそ、少額でいいのです。大切なのは「今すぐ動くこと」。未来の安心は、今日の行動からしか生まれません。
まとめ
ここまでお読みいただいたあなたは、きっと気づいているはずです。
「円だけに頼ることが、むしろ最大のリスクになる」 という現実に。
- 円資産100%は、インフレや円安に弱く、実質的な価値は減り続ける
- 資産を円と外貨に分けることで、どんな相場でも安定性が保てる
- 外貨の中でも米ドルは「世界の基軸通貨」として圧倒的な強さを誇る
- ETF・投資信託・外貨預金など、誰でも始められる手段がある
知識を得ただけでは、資産は守れません。
大事なのは「今、最初の一歩を踏み出すこと」。それが1万円の積立であっても構いません。
10年後、20年後のあなたがこう思えるように――
「あのとき始めておいて本当によかった」 と。
未来の安心は、今日の決断から始まります。
資産の50%を外貨に。米ドルの強さを味方にして、あなたの人生に“ゆとり”と“安心”を取り戻しましょう。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
お伝えしてきたように、円だけに頼るのはリスク であり、外貨、特に米ドルを取り入れることは、これからの時代を安心して生きていくために欠かせない視点です。
でも――。
頭ではわかっていても、いざ行動に移そうとすると「本当に大丈夫かな?」と不安になりますよね。私自身も最初はそうでした。
だからこそ、私はこのテーマをただ知識としてお伝えするだけでなく、「一緒に考え、一緒に行動する場」 を用意したいと思いました。
それが、私の開催している お金のセミナー です。
このセミナーでは、
- 初めての方でも安心できるように、難しい言葉を使わず
- 実際の数字や事例を交えて「なるほど」と腹落ちできるように
- 今日から小さく一歩を踏み出せるように
そんな工夫を大切にしています。
未来の安心は、知識ではなく「行動」から生まれます。
ぜひご一緒に、あなたに合った資産の守り方・増やし方を考えていきましょう。

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