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頑張っても時間が足りない…士業が知るべき“脱・属人化”の3ステップ

「最近、本当に時間が足りない」
そう感じながら日々の業務に追われていませんか?
忙しさの原因は、単に業務量が多いからではないかもしれません。
その背景には、“属人化”という見えにくい落とし穴が潜んでいます。

特定の人にしかできない仕事、引き継げない業務、整理されない情報…。
もしあなたの事務所でも思い当たる節があるなら、
“仕組み”によって解決できる余地は大いにあります。

本記事では、士業が実践できる「脱・属人化」のステップを具体的に紹介します。
限られた時間を、より価値ある仕事へ 。その第一歩を一緒に見つけていきましょう。

そもそも“属人化”とは何か?

属人化とは、特定の業務が一部の人にしか理解されておらず、他の誰にも対応できない状態を指します。進捗も手順も、その人の頭の中にしかなく、いわば“業務のブラックボックス化”が起きている状態です。

特に士業の現場では、この属人化が起こりやすい構造があります。
というのも、業務の多くは高度な専門知識を要し、資格者自身が責任を持って完結することが当然とされてきました。そのため、「この仕事は自分にしかできない」「任せるのはリスクがある」と無意識のうちに抱え込んでしまうのです。

また、事務所の文化として「一人で完結させることが美徳」とされがちなのも、属人化を助長する一因です。たとえば、申告書の作成、顧問先への対応、会計データの修正など、どれも本来は分担や共有ができるはずの業務。それでも、「丁寧さ」や「責任感」が先行してしまうと、逆に誰にも引き継げない仕事へと変わってしまうのです。

さらに、忙しさに追われる中でマニュアルや共有資料を作る余裕がないと、知識や手順はすべて経験則の中に埋もれていきます。結果として、もし担当者が急に休んだら……すべての仕事が止まってしまう。これは決して他人事ではありません。

属人化は、個人の能力や努力が原因ではありません。
仕組みが整っていないまま、目の前の業務に全力で向き合ってきた結果なのです。だからこそ、ここから先は「見える化」や「分担化」といった新しい視点を取り入れることで、少しずつ変えていくことができるのです。

属人化がもたらす“3つのリスク”

頑張っているのに、なぜかチームが育たない。引き継ぎもうまくいかない。それは“属人化”が原因かもしれません。ここでは、属人化が引き起こす3つの重大なリスクと、その背景にある仕組みの不在について詳しく解説します。

① 業務のブラックボックス化

属人化が進むと、業務の中身が“見えない”状態になります。
例えば、毎月発生する定型処理でも、「どの順番で進めているのか」「どんな工夫をしているのか」さえ、本人以外にはわかりません。これは、仮にその人が急に不在になった場合、他の誰も業務を引き継ぐことができないというリスクにつながります。

実は、属人化している本人ですら「なぜ仕組み化できないのか」に無自覚なことが多く、「自分のやり方が最善」と思い込んでしまっているケースも少なくありません。

業務の流れが見える状態でなければ、改善点も見えず、属人化は深まる一方です。こうした“ブラックボックス化”は、士業事務所の持続性において大きな障壁となります。

② 引き継ぎ不能による機会損失

担当者しか業務の全体像を把握しておらず、何がどこまで進んでいるかすら共有されていない。そんな状態では、突然の休職や退職が「業務停止」と同義になります。誰にも引き継がれず、処理が滞る。結果として、顧客対応の遅れや信用の低下を招きかねません

士業事務所は、信頼で成り立つビジネスです。一度崩れた信頼を取り戻すのは、容易ではありません。だからこそ、日常業務を「誰かに任せられるかどうか」という視点で見直すことが、経営リスクを未然に防ぐ鍵となります。

③ 育成・組織拡大が難しくなる

属人化が進むと、新人の育成がうまくいきません。なぜなら、教えるべき業務が“言語化されていない”からです。担当者の経験や勘に依存した仕事は、マニュアルに落とし込まれることなく、結果として「見て覚える」しかない環境になりがちです。

そのような職場では、指導の質も属人的になります。「誰から教わるか」で結果が変わり、育成の標準化が図れません。さらに、管理職層の業務も属人化していれば、組織の拡大そのものが困難になります。

組織が成長していくには、属人化を前提とした「優秀な個人頼り」の体制から脱する必要があります。一人ではなく“仕組み”で回る組織。それこそが、持続的な発展を支える土台になるのです。

「業務効率化」と「脱・属人化」は別物

「業務を効率化したい」と考える士業の方は多いですが、その手段として真っ先に出てくるのが「ITツールの導入」ではないでしょうか。RPA、チャットボット、AI、クラウド管理ツールなど、便利そうなものは世の中にあふれています。でも、それらを入れればすべてが解決するかといえば 、残念ながら、答えはNOです。

そもそも「業務効率化」と「属人化の解消」は似て非なるもの。前者はスピードや手間を減らすことで、後者は「誰でもできる状態」をつくることです。この違いを理解しないままツールを導入してしまうと、むしろ問題が複雑になることもあります。

たとえば、「この人しか使えないツール」ができてしまったり、フローが見えないまま部分的に自動化されたことで、ミスが増えたり混乱が起きたり。結局、属人化をさらに助長してしまうケースもあるのです。

また、士業の現場では「この仕事は資格者しかできない」「顧客対応は自分がしなければならない」といった意識も強く、技術だけでは変えられない“構造的な壁”が存在します。だからこそ、やるべきことは「仕組みの再設計」。誰が・いつ・何を・どの順番で行うのかを整理し直すことから始めなければ、効率化も分業も前に進みません。

実際のところ、最も多くの事務所がつまずくのが「ツールを入れたけれど、運用が定着しなかった」というケースです。使い方を共有できる人がいない。マニュアルがない。誰もメンテナンスしない。その結果、「なんとなく使われなくなる」。これが現実です。

重要なのは、何を導入するかではなく、誰が見てもわかるように業務を“見える化”し、“引き継げる形”に落とし込むこと。その視点がなければ、どんなに優れたシステムを導入しても、それは一部の人しか使えない「新しい属人化」になってしまうのです。

だからまずは、「属人化の解消=ツールの話ではない」と認識することが、最初の一歩です。

脱・属人化の3ステップ

業務を他人に任せられない。そんな悩みを抱えていませんか?
その背景には、属人化の壁があります。
この記事では「見える化」「仕組み化」「手放す」の3ステップで、
脱・属人化を実現し、組織を成長させるための具体的な方法を解説します。

ステップ①「見える化」する

属人化の解消は、まず“仕事を見えるようにすること”から始まります。
「この業務は誰が」「どの頻度で」「どんな手順で」やっているのか。普段は感覚で処理していることも、一つひとつ書き出してみると、驚くほど多くの“ブラックボックス”が眠っていることに気づきます。

とくに、毎月の決算処理、年末調整、契約書のチェックなど、発生頻度が高い業務は要注意です。自分しかやっていない業務こそ、棚卸しの優先度は高くなります。

業務の工程ごとに「頻度」「属人度」「難易度」などで分類していくと、整理がしやすくなります。最初からきれいにまとめようとせず、手書きのメモでも構いません。まずは可視化することで、組織全体で「共有すべき仕事」「手放せる仕事」が見えてきます。

この“見える化”は、仕組みづくりの土台です。どんな業務でも、整理されてはじめて次のアクションが生まれます。属人化に気づくこと、それが最初の一歩です。

ステップ②「仕組み化」する

属人化を脱するには、業務を“個人の経験”ではなく“再現可能な手順”へと置き換える必要があります。そのための基本が、マニュアル・チェックリスト・テンプレートの整備です。特に繰り返し発生する業務は、プロセスそのものを再設計し、「誰でも同じ品質で実行できる」状態を目指します。

ITツールの導入は仕組み化の補助に過ぎません。タスク管理ツールやナレッジ共有ツールは、あくまで標準化された業務を“維持・浸透”させるための手段です。ツール導入の前に、「何を、なぜ、どうやるか」を言語化し、業務ルールと運用の骨格を構築することが本質です。

また、設計・実行・検証の役割を分担し、仕組みが一人の肩に乗らない体制も重要です。最終的には、現場が自走できる仕組みこそが、真の脱・属人化の姿といえます。

ステップ③「手放す」ことを決める

仕組み経営の最終ステップは、「手放す」決断です。ここを乗り越えなければ、いつまでも“自分しかできない”業務に縛られ続けます。

たとえば、「この作業は私のこだわりがある」「お客様とのやり取りは私でないと…」という気持ちは、誰しも持っています。ですが、経営において大切なのは、自分以外の誰かが同じ結果を出せる状態を意図的につくることです。

判断基準はシンプルです。
「再現性があるか」「マニュアル化できるか」「アウトプットにブレがないか」。

この3つが揃えば、十分に他者へ任せる準備が整っています。むしろ、そうした業務をいつまでも自分で抱え込んでいると、ビジネスの成長が止まります

属人的な強さと仕組み化は対立ではなく、循環です。まず誰かが成果を出し、それを型化する。型を運用する中で新たな工夫が生まれ、さらに仕組みが洗練される──このサイクルが強い組織を生みます。

手放す勇気を持ちましょう。それは「弱さ」ではなく、「強さ」への第一歩です。

まとめ「頑張る人」が疲弊しない仕組みを

「仕組み化」とは、決して“楽をする”ためのものではありません。
むしろ“頑張っている自分を守るための戦略”です。

どれだけ情熱を注いでも、人の時間と体力には限界があります。
属人化に依存した経営は、いつか必ず“自分の限界”にぶつかります。

最初の一歩は、業務の棚卸し──「見える化」からです。
複雑に絡んだ日常業務を解きほぐし、再現可能な形に整えること。

それが、あなたのビジネスを一段階引き上げる「経営者の一歩」になります。
“頑張り続けないために、仕組み化する”
その決意を、今日ここから始めてみませんか。

仕組みが事務所を支えるなら、もう一つの柱は“お金の仕組み”です。

業務の属人化を手放しても、お金の不安が残っていては、真の安心は得られません。

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経営の仕組みとお金の仕組み、二つを整えることで、あなたの未来はより揺るぎないものになります。

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